Monday, October 25, 2004

東照二 2000 バイリンガリズム 講談社現代新書

http://www.hum.utah.edu/languages/japanese/faculty/azuma.htm
ユタ大準教授 
”ストロングフォームでのバイリンガル教育は有効である。”
目次
第1章 個人にとってのバイリンガリズム
 誰がバイリンガルか?:バイリンガルの定義(ブルームフィールド・ホーゲン)
 言語と思考(サピア・ウォーフ仮説弱い方)
 バイリンガリズムと知能
 バイリンガルの脳(カミンズの氷山モデル、ベイカー&プライズ・ジョーンズ)
 クロスする言語(干渉・中間言語)
 コード・スイッチング(フレーム・コンテント仮説)
 バイリンガリズムのプラスとマイナス

第2章 バイリンガルになるには
 どんな語学オンチでもバイリンガルになれる? 
 言語習得に遅すぎる年齢? (レネバーグ臨界期仮説)
 言語への態度 (ジャイルズとバーン、オリバーとパーディー)
 適性と動機(場依存型・場独立型、道具的動機・統合的動機、ベイカー動機測定テスト)
 言語習得の理論(エリスの5要素、クラッシエンの習得理論=習得-学習仮説・モニター仮説・自然順序仮説・インプット仮説・情意フィルター仮説、学習ストラテジー=記憶・認知・補償・メタ認知・情意・社会的、シューマンの文化適応モデル)
 読み書き能力は転移するか(リタラシー・トランスファー)
 英語をマスターするには何年かかるのか?(カミンズの類型化Aインフォマル日常会話B相手を説得C黒板を筆写Dエッセイをかくは別物。Aは2年Dは5~7年とも)
 イマージョン教育(←→サブマージョン、初期=幼稚園・中期=9歳〜・後期=12歳〜、トータルイマージョン・パーシャルイマージョン)
 言語を忘れてしまう(言語後退・言語漸減・言語喪失、ハンセン&リーツ・クラシゲ=臨界閾仮説・退行仮説・逆仮説・回復失敗仮説)

第3章 バイリンガル教育と社会
 アメリカのバイリンガル教育の歴史(同化→公民権法1964マイノリティに寛容→1968マイノリティにバイリンガル教育→ESL)
 10人に1人は英語ができない(LEP政府援助のある学校のこどもの割合7% )
 バイリンガル教育に対する強い風当たり (レーガンの非難→クラッシェン反論)
 バイリンガル教育の種類(ウイークフォーム=同化目的・移行バイリンガル・サブマージョン、ストリングフォーム=多言語多文化主義・保持バイリンガル・継承語バイリンガル)
 エンパワーメント(共同的な力関係の中で生み出される)
 非エンパワーメント(マイノリティ言語の使用を禁止する)
 エンパワーメントは共同体的力関係の中でおこる(ストロングフォームでのみ可能、双方向バイリンガル教育=マジョリティをマイノリティに混入、継承語・コミュニティ語学習)

第4章 社会におけるバイリンガリズム
 花園のたとえ(ガルシア=マイノリティ言語の保護)
 言語政策(人権宣言)
 内向きと外向きの二枚舌? (オヴァンド・米公用語化運動)
 イングリッシュ・オンリー運動(米公用語未設定、Sハヤカワ→U.S.English結成)
 英語を公用語にすると起こりうる問題
 U.S.English の主張
 言語の専門家たちは?(アメリカ言語学会は多言語多文化社会の維持を主張、TESOL=公用語化反対)
 日本での英語第2公用語化への動き

Sunday, October 24, 2004

西崎 亮 1995 日本古辞書を学ぶ人のために 世界思想社

目次
第1章 古辞書へのいざない(西崎亮)
1)はじめに 2)辞書とは 3)辞書の分類(=辞書・字書・韻書・類書) 4)辞書史の時代区分(古辞書下限慶長以前:川瀬55) 5)古辞書を扱う場合の問題点(省文・仮名字体、漢字音表記=半切・類音・仮名・類音仮名併用、声点) 6)古辞書と文学研究(アクセントと解釈、意味識別と漢字、和訓の確定と意味、文字意識と解釈)

第2章 古辞書の歴史(山田健三、江口泰生、萩原義雄、湯浅茂雄)
1)奈良・平安=漢語抄、音義書から字書へ(金光明最勝王経音義、法華経単字)、新撰字鏡(現存最古の漢和辞書・昌住)、類聚名義抄・篆隷万象名義(日本人による現存最古の辞書)、和名類聚抄(源順撰)・東宮切韻・本草和名
2)鎌倉=部首引き漢和辞書(類聚名義抄・字鏡・音訓篇立・倭玉篇・字鏡ショウ・字鏡抄)、イロハ引き辞書(字類抄・名語記・仙源抄)、韻字書(文鳳抄・平他字類抄・聚分韻略)、歌語辞書(和歌色葉・八雲御抄)、語源辞書(名語記)、百科事彙集(拾芥抄・塵袋)、法華経音義書(法華経音訓)
3)室町=日葡辞書・下学集(カガクシュウ)・倭玉篇(ワゴクヘン)・運歩色葉集・節用集・温故知新書1484?・落葉集1589
4)補遺 江戸期=字集・節用集・語源辞書(和句解・日本釈名・東雅)・国語辞書(和訓栞・雅言集覧・俚言集覧)・雅語古語辞書(雅言集覧・鸚鵡抄・源偶篇・倭訓類林・冠辞考・万葉集目安補正・楢の嬬手・かざし抄・あゆひ抄 他)・俗語方言辞書(俚言集覧・かたこと・志布可起・御国通辞 他)・唐話辞書(唐話纂要・画引小説字彙・南山俗語考)・百科事典 類書(訓蒙図彙・和漢三才図会・嬉遊笑覧・守貞言+曼稿)
第3章 主要辞書各説(西崎亮・乾義彦・萩原義雄)

付章 年表・目録

翻刻のある古辞書がテキストになっていたら便利なのですがね。日葡も。

Saturday, October 16, 2004

山田俊雄 2003 日本のことばと古辞書 三省堂

ISBN: 4385361274 ; (2003/05)
目次
「闇から牛」—漢字とその訓についての話
酉年のちなみに
明治初期の闕画
随想(退職に際しての口演)
「衣+上 衣+下」の話
ある擬製漢字についての所感—「裃」と「〓〓」と
書名の読み方
梅の道地
日本のことばと古辞書(芥子となたね、草馬=メムマ)
漢和といふこと—「聖」の字などについて (中国での使用、先行文献あり)
漢和事典と国語事典とのあはひ
国語事典を読む—和漢洋にわたる語について(南北戦争・黄禍・勿忘草)
『兵員要語帖』といふ資料
明治五年の「学制」の「仰せ出され書」の本文について
漢文訓読の入門(その一〜七) 江戸時代の入門書紹介など

中世もすこし勉強することになって、ちょっと予備知識を仕入れるため、読んだ。辞書知識は必要だから。期待していた解説系の本ではなかったが、読み物としておもしろかった。
舊漢字・歴史的假名遣ひ だし、例えば、「耶蘇教」という表現もなんだか、時代がかっているしで、いかにも年配のかたの文章ではあるが、どことなくなつかしい感じがした。自分の年齢のせいか?? そんなはずは・・・
その山田先生も、カタカナは「シヴイルウオー」と書いていらして、vの音に(日本語にはないけれど)こだわりが示されているのがおもしろい。「シビルウオー」ではだめなのか。
蘊蓄、トリビアねただらけで、TVの番組に投稿してもいいかも。密教の祈祷のときに焚いているのはゴマじゃなくて、ナタネである、とかね。

Friday, October 15, 2004

山本雅代編 1999 バイリンガルの世界 大修館書店

日・英バイリンガルの子育ての経験談をあつめたもの。

サタデースクール
家庭での識字指導
ドーマン法(フラッシュカード/視読語彙指導)
2言語・文化の意義
帰国子女の英語保持
日本のイマージョン

などの内容。それぞれが具体的・体験的な内容(ケーススタディ)。
それにしても、22例のアンケートでレポートが書けちゃうの?という気もしないではない。

だいたい、バイリンガリスムに対して相対的に+評価 (他の価値観への理解・許容など)
しかし、その困難・苦労も伺われた。
また、イマージョンに関しては、成績のよくない、あるいは、学習適性が低い学習者でも、有害な影響はないという。開始後、5〜6年で学習成績に優位を示すようになる、とも。
英・日のイマージョンにばかり注目が集まるが、本当に「必要」とされているのは「日・中」とか「日・葡」とかのような気がする。

Monday, October 11, 2004

宮崎里司 2001 外国人力士はなぜ日本語がうまいのか 明治書院

目次
第1章 モンゴル力士、大学の教壇に立つ—旭天鵬の日本語力
第2章 辞書などなくても—教室の外に上達の王道がある
第3章 「おかみさん」は最良の日本語教師—ことばを育む「母親」たち
第4章 外国人力士の「日本語応援団」—兄弟子、床山、教習所
第5章 下町人情と外国人力士—地域との交わりは最高のけいこ場
第6章 教室以外の学習チャンスを生かそう—最新の言語学習理論にかなった学び方
第7章 外国語学習に悩むあなたへ—目からウロコのヒント集
第8章 外国人力士と相撲界

外国人力士がどのように日本語を習得しているのかを、力士本人やおかみさんへのインタビューを通して明らかにしたもの。
強い学習動機、これが短期間に語学が身に付く決め手。外国人力士は野球の助っ人外人と違って、ハングリー精神がある。日本にすもうで成功するために来ている。日本語は目的ではなく手段として必然的に身につけざるをえない。これが学習動機。

memo:イマージョン・プログラムとの類似点=目標言語の学習が目標ではなく、それを使って情報処理すること。文法能力・コミュニケーション能力のほかに、社会文化的な能力も求められること。参加者に教師以外のビジター、ゲストスピーカーなど多数。習得過程で起こる問題を訂正・修正するシステム・プログラム。目標言語漬け。
語学学習の達人7つの法則:1)強い学習動機 2)学習環境に多くの母語話者をとりこむ 3)ネットワークのなかで目標言語にひたりきる 4)教室外の学習も 5)常にストラテジー習得の工夫 6)自分の学習を自分で管理 7)モデルを身の回りにさがしだし、観察して自分にあうモノを取り込む

宮崎里司 早稲田大学助教授 http://www.f.waseda.jp/miyazaki/aqlink.html

Friday, October 01, 2004

James M.Vedaman 岡崎正義 Wordster 2003 講談社

ボキャビル本です。びつくりは、川島隆太監修ってとこです。脳は7つのモノしか覚えられないので、記憶効率を高めるために、繰り返し、グループ化(チャンキング)、音読、筆記しなさい、という解説を書いておられます。
びみょーなのは、発音記号のよこに、カタカナで発音がランアウェイとか書いてあるところ。
ボキャビルは語彙力を増やすのが目的。2300+advanced 1300 をコーパスでとりだしたのだろうけれど、反意語とか、派生語も同時にいれておくほうが強化されるはず。その意味では、ぞうしん会の「速読 速聴」のほうが、緻密なかんじがした。
たぶん、どれをつかっても大差ないだろうけれど、声に出して、手で書いて、繰り返せ、ってことで王道はありませんということですね。
それで、なんでここにメモするか、というと、日本語語彙のボキャビル(プリント)の作成のさい、参考にしようと思ったからです。
essential 2300 の方の章立ては、生活シーン別になっていて
第1部 日常生活
1)銀行・郵便/買い物/街かどで/自動車/電車・地下鉄・バス  2)病院/学校   3)居住空間/ファッション/食事/住まい   4)コミュニケーション/セレモニー
第2部 ビジネス・社会
1)経済/企業/オフィス/パーソナル  2)社会/政治/歴史/科学/自然/宗教   3)エンタテイメント 空港/ホテル/観光/文化/スポーツ・アウトドア
という具合。
参考になるか?