Shall we ダンス ? に「痛いじゃないの」というセリフが出てくる。
「痛いじゃないの」と「痛いのじゃないか」「痛いのじゃない」はどう違うか、という質問。
1)痛いじゃない(の)=痛いではないか=(あなたの行為によって)(私が)痛い(という事態になった)ではないか、(どうしてくれるんだ)
2)痛いのじゃないか=(そんなことをすると)痛いのではないか=疑問文
3)痛いのじゃない=(彼は・私は)痛いのではない(痒いのだ)=否定文
と説明したものの、「N+ではない」(名詞述語文)との対応を考えると
4)田中君じゃない(の)=(あなたは)田中君ではないか=(あなたは)(まさしく)田中君だ
5)田中君じゃない=(彼は・それをしたひとは)田中君ではない
2)は形式名詞「の」があるが、「Nじゃない」型の 4)に対応しない。(3は5に対応)
これが説明できない。
そこで、別の説明。
a イ形容詞の否定形は「痛くない」
b イ形容詞+ではないか /イ形容詞+のではないか/ イ形容詞+のでない
の形は
「Sが+イ形容詞=V」ではないか・・・SがV
「Sが+イ形容詞=V」のではないか・・・SがVか?
「Sが+イ形容詞=V」のではない・・・SがVでない
の(Sのない)かたち。
「痛い」の場合、
a 痛くない
b 痛いではないか (S=自分 私は痛い!)あい手のせいで痛いと、非難
痛いのではないか (S=? S=自分 なら仮定 S=他者 なら推量)
痛いのではない (S=? 「痛い」と違う「痒い」など別の形容詞がすぐあとにつづくことを示唆)
a のイ形容詞否定形が完全にマスターできていないと、混乱する。
日本人が「きれいくない」と言っていたりすると、さらに混乱。
ナ形容詞は 語幹+ではない(じゃない) で否定形を作ることからくる混同。
と説明してみる。
これでわかるかな?