小林隆 2005 方言が明かす日本語の歴史 岩波書店
目次
一 日本語史の“当たり前”
1 文献というフィルター
2 古典語文法の正体
「見よ」から「見ろ」へ
二段活用は生きている
3 ことばのバリエーション
「やはり」か「やっぱり」か
清少納言の言語感覚
庶民語へのまなざし
二 常識から抜け出す方法
1 方言という視点
2 どんな方法を使うか
方言を比較する
ことばの地図を読む
3 方言に伝わることばの層
方言は庶民の味方
「ひてつくるまに」
方言に答えを探す
三 「こま」の常識
1 歌語の世界
2 キリシタンの誤解?
イソップ物語の「こま」
キリシタンの観察
日本側の証拠
3 方言に現れた「こま」
「こまは駒の意にあらず」
馬の方言地図
「こま」の位相
4 さらなる疑問
隠された時代
「こま」と「だま」
「こま」の語源
四 「くすりゆび」は書き間違い?
1 薬指の呼び方
おねえさんゆび
歴史をたどる
不自然な交替
「くすしゆび」と「くすりゆび」
2 方言に見る薬指
東西対立分布
海路が運んだ「べにさしゆび」
周圏分布としての見直し
3 行方不明の「くすしゆび」
文献と方言の矛盾
なぜ方言に見えないか
位相的二重構造
4 「善本」と「悪本」
発想の転換
『就弓馬儀大概聞書』
不用意な写本
口頭語の露出
五 「おととい」の衝突
1 「おととい」から「おとつい」へ
国語辞書と方言
「一昨日」の呼び方
「おととい」の古層発掘
2 「おとつい」から「おととい」へ
「おとつい」の再出現
再び方言を探る
あらたな疑問
3 もうひとつの「おととい」
兄弟の「おととい」
「おととい」のパズル
4 「おととい」復活の真相
同音衝突
歴史の素顔
六 生きている「こそ」係り結び
1 「係り結び」発見
古典語文法の鉄則
方言に残る係り結び
用法のバリエーション
2 古典語文法は方言に学べ
古語は田舎に残る
種子島方言の「ける」
3 方言に見る進化の姿
中央語の再生
「くさ」の正体
「くさ」の成立
終助詞化の過程
4 保守と革新の地域性
「こそ」係り結びの地図
終助詞化と方言分布
東と西,そして九州
七 東北方言「さ」の源流
1 「さ」はどこの方言か
東北方言の代名詞
九州にも「さ」はあった
「東京さめ行く」
ある実験
2 古典語の「さまに」
『枕草子』のエピソード
検証『枕草子』
敬称「さま」の由来
3 関東方言を旅する
中央と東・西
関東周辺部に潜む原型
八丈島に渡る
4 中央語の再生基地
「さ」はどこで生まれたか
「京へ筑紫に坂東さ」
関東方言の役割
5 その後の「さ」
東北の「さ」に戻って
二度の変身
文 献
あとがき