Thursday, January 06, 2005

小池清治  2001 現代日本語探究法 朝倉書店

シリーズ〈日本語探究法〉の1
著者は宇都宮大教授
丁寧なルビがついていて、留学生にも読みやすいよう工夫されている。
卒論などのテーマさがし・研究法の参考に。
目次
第1章
「日本」は「にほん」か、「にっぽん」か? —音声言語と書記言語・名詞
キー:促音・撥音の表記法、言葉読み。文字読み
「にっぽん」が法規的には正しい
第2章
日本語に主語はないのか? —文法・構文論
キー:主語・主格・主題(題目語)・対象語
大槻文彦「主語」=Subject 山田「主格」=Subject 松下「題目語」
主語否定論ー橋本 三上 北原
主語設定論ー久野 柴谷 仁田
第3章
「栃木県に住む外国人」と「栃木県に住んでいる外国人」は同じか?—文法・動詞
キー:アスペクト、動作動詞・状態動詞・瞬間動詞・変化動詞・可能動詞・特殊動詞、始動相・継続相・存続相・完了相・既然相・成立相・終結相、ル形・テイル形。タ形
第1次アスペクト=ル形・タ形
第2次アスペクト=動詞+テ+イル・アル
第3次アスペクト=動詞+ハジメル・ダス/ツヅケル/オワル (複合動詞)
 (ル形は意味がより狭く、状態動詞の基本形は未来をも表しうる)
第4章
ラ抜き言葉が定着するのはなぜか?—文法・可能動詞
キー:可能表現、能力の可能・状態の可能・蓋然性の可能、可能動詞
体系の整備の観点からみれば、ラ抜きの定着はあきらか
第5章
「それでいいんじゃない?」はなぜ肯定になるのか?—文法・疑問文・存在詞
キー:挨拶語・省略表現・日本語の曖昧性・否定疑問文・存在詞文・ウナギ文
ある・いる を肯定形で尋ねる場合、単純な疑問文と、ないはず・いないはずの意を込める場合との2種類がある。
ない・いない? と否定形で尋ねる場合、単純な疑問の用法はなく、あるはずの意を込める場合のみ
第6章
なぜ、「安くておいしい店」と言い、「おいしくて安い店」とは言わないのか?—文法・形容詞
キー:形容詞の語順・ク活用形容詞・シク活用形容詞・必然的十分条件・偶然的必要条件
英語の語順は固定的であるのに対し、日本語の語順は自由で、強調という修辞機能を担っている。
形容詞語順は心理的生起の順序による。
第7章
「全然、OK。」は、全然許されないか?—文法・日本語の変遷・副詞
キー:情態副詞・程度副詞・呼応副詞(陳述副詞)
副詞の用法の拡大の方向性 情態→程度→呼応
第8章
「しかし」は論理に関する接続詞か?—文法・文学と語学・接続詞
キー:順接の接続詞・逆接の接続詞・論理的「しかし」・心理的「しかし」
芥川=「しかし」偏愛型の作家
第9章
助動詞「た」は過去を表すか? —文法・助動詞
キー:過去の「た」・以前の「た」・状態の「た」・想起・命令・決意の「た」・完了の「た」実現の「た」ル形叙述・タ形叙述
・動的文体・静的文体
金田一春彦・寺村秀夫・高橋太郎
第10章
「ここが皇居です。」事実の初出にはガが用いられるのか? —文法・助詞
キー:ハとガ、既知・未知
ガは叙述内容を対象化する。
第11章
「わかりますか?」と「わかりますか。」はどちらが正しいか —表記・助詞
キー:疑問符号・イントネーション
第12章
父親はいつから「オトウサン」になったのか? —共通語と方言・親族呼称
キー:共通語の成立・周圏型分布・東西型分布・表意型分布
第13章
夏目漱石はなぜ「夏目嗽石」と署名したのか? —文学と語学・レトリック
キー・誤字・当て字のレトリック、タイトル・主題・主要レトリック三位一体の技法
第14章
「夜の底が白くなつた。」「夜」には「底」があるか? —文学と語学・レトリック
キー:共存制限
第15章
孤独な魂は擬人法を好むか? —文学と語学・レトリック
キー:擬人法

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