横田睦子 2003 渡米移民の教育 大阪大学出版会
ー栞で読む日本人移民社会ー
第1章 「栞」とは何か
小冊子(48ページ以下の無料リーフレット・パンフレット類)
第2章 日本人移民史 ー「渡米」から「排日」までー
1885-1924 旧移民(英独と北欧) 新移民(南欧・東欧)中国人移民排斥→日本人移民(1910から女性割合増)
黄禍論→日本政府の移民制限
<時代区分>
1886-1884 元年者時代
1885-1893 官約移民時代 ハワイで3年間労働の契約移民(3万人)→帰国・残留・渡米
1894-1899 私約移民時代
1900-1907 自由移民時代 渡米全盛期、反日・排日、学童隔離事件1906→紳士協定
1908-1923 呼び寄せ移民時代 1913排日法(土地法、「帰化不能外国人」)移民80%が帰国
(1924から23年間は移民禁止時代)
第3章 初期移民渡米期の「栞」
渡米案内書ー労働者向け・留学生向け に大別
日本力行会(島貫兵太夫)キリスト教を基盤にした貧困救済組織。紳士協定後も密航手ほどき
第4章 移民全盛期の「栞」
日本YWCA 渡航婦人講習所
在米日本人会
河上清 移民改善策
第5章 排日対応期の「栞」
奥村多喜衛(牧師) 日本人学校での移民教育(排日予防策としての米化)←内面的同化(イチオカ)
第6章 日本人移民社会と「栞」ー結びにかえてー
(初期)渡米の情報提供・案内。「バラ色の情報提供」/片山潜・力行会などの現実的情報も
(全盛期)ホスト社会からの受容を目的とする。女性向けも。
(排日期)排斥予防
問 /シカゴ学派パーク"yellow peril"というような人種偏見 をみていない
題 \自らを根拠のない日本人の優位性を喧伝
「文化化」の「場」を提供した日本力行会、YWCA、在米日本人会、河上、奥村ら=「文化化のエージェント」
年代に沿った記述でわかりやすい。移民史への視点が、国内でもありふれたデカセギの延長として、敷衍して捉えられているところが特長。分類や、図表も適当。「栞」に絞ったテーマ設定もよいと思った。
「教育」とあるので、日本語教育についても記述がないかと探したが、そういう内容の本ではなかった。
2 Comments:
拙著に関心をお寄せいただき感激です。細部までお読みいただいたようで恥ずかしくもなりますが、それ以上にありがたいです。
そうですね、諸事情から拙著タイトルに研究テーマ「栞(しおり」の文字を入れることができなかったのですが、これは「栞」!)!)道しるべとしてのリーフレット、ブックレットについて書かせていただいたものです。
ありがとうございました。
ご記帳ありがとうございます。自分用の覚え書きの読書メモにコメントいただけるなんて、びっくりです。私は日本語教育分野に興味を持つ大学院生(M1)です。今年の夏から半年間、米西海岸に留学する機会を得たので、アメリカの日系人に関する本を探していたときに、御著書に遭遇しました。明快な記述でたいへん参考になりました。片山潜の意外な一面なども知ることができ、読み物としてもおもしろかったです。どうぞ、ひきつづきご精進なさってください。
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