Sunday, March 06, 2005

横田睦子 2003 渡米移民の教育 大阪大学出版会

ー栞で読む日本人移民社会ー
第1章 「栞」とは何か
   小冊子(48ページ以下の無料リーフレット・パンフレット類)
   
第2章 日本人移民史 ー「渡米」から「排日」までー
   1885-1924 旧移民(英独と北欧) 新移民(南欧・東欧)中国人移民排斥→日本人移民(1910から女性割合増)
                               黄禍論→日本政府の移民制限
  <時代区分>
   1886-1884 元年者時代
   1885-1893 官約移民時代    ハワイで3年間労働の契約移民(3万人)→帰国・残留・渡米
   1894-1899 私約移民時代
   1900-1907 自由移民時代    渡米全盛期、反日・排日、学童隔離事件1906→紳士協定
   1908-1923 呼び寄せ移民時代  1913排日法(土地法、「帰化不能外国人」)移民80%が帰国
   (1924から23年間は移民禁止時代)
    
第3章 初期移民渡米期の「栞」
   渡米案内書ー労働者向け・留学生向け に大別
   日本力行会(島貫兵太夫)キリスト教を基盤にした貧困救済組織。紳士協定後も密航手ほどき
   
第4章 移民全盛期の「栞」
   日本YWCA 渡航婦人講習所 
   在米日本人会
   河上清 移民改善策
   
第5章 排日対応期の「栞」
   奥村多喜衛(牧師) 日本人学校での移民教育(排日予防策としての米化)←内面的同化(イチオカ)

第6章 日本人移民社会と「栞」ー結びにかえてー
   (初期)渡米の情報提供・案内。「バラ色の情報提供」/片山潜・力行会などの現実的情報も
   (全盛期)ホスト社会からの受容を目的とする。女性向けも。
   (排日期)排斥予防
    
    問 /シカゴ学派パーク"yellow peril"というような人種偏見 をみていない
    題 \自らを根拠のない日本人の優位性を喧伝

    「文化化」の「場」を提供した日本力行会、YWCA、在米日本人会、河上、奥村ら=「文化化のエージェント」

 年代に沿った記述でわかりやすい。移民史への視点が、国内でもありふれたデカセギの延長として、敷衍して捉えられているところが特長。分類や、図表も適当。「栞」に絞ったテーマ設定もよいと思った。
 「教育」とあるので、日本語教育についても記述がないかと探したが、そういう内容の本ではなかった。

2 Comments:

Anonymous Anonymous said...

 拙著に関心をお寄せいただき感激です。細部までお読みいただいたようで恥ずかしくもなりますが、それ以上にありがたいです。
 そうですね、諸事情から拙著タイトルに研究テーマ「栞(しおり」の文字を入れることができなかったのですが、これは「栞」!)!)道しるべとしてのリーフレット、ブックレットについて書かせていただいたものです。
 ありがとうございました。

6:15 PM  
Blogger smart117 said...

ご記帳ありがとうございます。自分用の覚え書きの読書メモにコメントいただけるなんて、びっくりです。私は日本語教育分野に興味を持つ大学院生(M1)です。今年の夏から半年間、米西海岸に留学する機会を得たので、アメリカの日系人に関する本を探していたときに、御著書に遭遇しました。明快な記述でたいへん参考になりました。片山潜の意外な一面なども知ることができ、読み物としておもしろかったです。どうぞ、ひきつづきご精進なさってください。

5:03 PM  

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